【建物表題登記】祖父が建てた建物を登記するときの注意点

未登記の建物を相続した際に、相続登記をするために表題登記をお願いしたいという依頼が増えています。

登記を行う際に、
「この建物は間違いなく○○さん(申請人)の所有物ですよ」
と証明するための書類(所有権証明書といいます)を揃えるのに非常に苦労します。

通常の新築建物の表題登記では、所有権証明書として
🔶建築確認済証
🔶工事完了引き渡し証明書(工事施工者が建築主に建物を引き渡したことを証明する書類)

を添付します。

ところが、昭和30年〜40年代等に建てられた古い建物の場合、建築確認も無い、工事施工者からも引き渡し証明書を取得できないというケースが殆どです。

仮に、現所有者の祖父が建物を建築したとしましょう。

はじめに祖父が建物を所有していたことをまず証明しなくてはなりません。

建築確認や工事完了引き渡し証明書が無い場合に、代わりの所有権証明書としては、祖父が建築業者から取得した建築代金の請求書や見積書、工事請負契約書などが考えられます。

もしそれらの書類も無い場合、例えば祖父が入っていた火災保険の証書、地震保険の証書などがあります。

まずは祖父が建物を取得したことの事実を証明し、そのあとに祖父の息子である現所有者の父親が相続したことを証明する遺産分割協議書などの相続書類、そして最後、父親が亡くなって現在の所有者が父親から相続したことを証明する相続書類が必要となります。

それでも祖父が原始的に取得したことを証明する書類が無いこともあります。

市役所の固定資産税課(家屋)に伺い、税金が初めて賦課された際の資料を探していただき、祖父の名前で税金を以前支払っていたことの証明として使用したことがありました。

只、面積等が現地と大きく異なる場合は、市役所にお願いをして今回登記しようとしている建物と台帳上の建物の同一性を証明するため、面積などを修正していただき、市役所からの証明ということで法務局に所有権証明書として添付することもあります。

このように、古い建物の表題登記は苦労するケースが多いのです。

未登記の建物を相続する場合で相続登記をする場合は、
・各種書類の準備
・司法書士による所有権登記
など早めに手続きをすることをお勧めします。