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建物表題登記申請後に発覚した、工事施工業者と申請人のトラブル… その結末は!?

我々土地家屋調査士は、工事施工者から引き渡しを受けた建物所有者から委任を受け、建物表題登記を申請します。

工事施工者から工事完了引き渡し証明書を受領し、申請人に申請意志を確認のうえ申請しますので、通常は何の問題も起きません。

しかし数年前、登記申請後に施工者と申請人がトラブルを起こしていたことがわかり、大変な思いをしました。

引き渡し証明書は発行していただいていたのですが、実際にはまだ引き渡しをなされておらず、工事施工者に対して申請人が常軌を逸した言動でクレームを入れ、お金も一切支払いしないと言い始めたというのです。

すぐに取り下げをしようと法務局に相談したところ、申請意志の撤回を原因とする取り下げは申請人から改めて委任状を取得してからでないと受け付けないと言われ、書類不備の取り下げも書類に不備がないためできないとのことでした。

このまま表題登記が完了し、表題部所有者に記載がされ(所有者と推定される状況になる)、さらに保存登記は表題部所有者から申請できるので、保存登記が完了してしまうと所有権の対抗力を付与されてしまうのです。

法務局には事情を説明し、登記手続きを待っていただくように進言しました。その後、施工者と申請人が和解をしてくれたため、平穏無事に登記完了と引き渡しがなされました。

本当に胃の痛くなるような思いをしました。登記官にはきつくお叱りを受けましたが・・・