測量の仕事を受けていると、該当地がさまざま問題を抱えているケースがあります。
先日、売買をするための確定測量の仕事を受けて調査を行っていたら、土地の中に古い道路が残っていることが判明しました。
現地は高低差のある駐車場として使用されており、道路の形状も残っていません。当然、道路を廃止する手続きもやってほしいと依頼を受けました。(本業務は建築士として受託しました)
よくよく調べてみますと、昭和30年代に作成された手書きの図面(お世辞にもきれいとは言えない)が役所に保存されていました。
こんな図面が今も有効なのか・・と感じざるを得ません。
職員と話をしても、
・当時の詳細記録は全く残っていない
・東側の公道から長さ17.80m、幅員4.00mの道路が書類上存在する
・廃道の手続きを行わなければならない
ということだけでした。
その当時の図面は、現在ある土地の区画ができるずっと前に作成されたものなので、現在のどの辺にその道路があったのかは測量してみないとわからないのです。
そして、範囲を少し広げて該当箇所を図って図面におこしてみてびっくり!
隣の土地まで道路が食い込んでいるではありませんか💦
隣の土地には、比較的新しい建物が建築されており、なぜ建物が建てられたのか疑問です。住宅メ-カー、不動産業者、市役所の職員全員が気づかなかったのでしょう。
廃道手続きをしなければ、建築もできないし、融資も受けられません
道路があるということは、建築をするうえでさまざまな規制をうけますので、廃道手続きをしなければ建築は当然できませんし、融資も受けられないのです。
依頼者である不動産業者にその旨を説明すると、売買の決済まであと1ケ月しかないので早く廃道手続きをやって下さいとのこと。
急いで市役所と打ち合わせを開始しました。
すると、隣の土地の所有者及び抵当権者(銀行)から廃道手続きを行うことについて、実印・印鑑証明付の承諾書をもらってきてくださいとのことでした😨
次の土曜日の夕方、依頼者と一緒に隣接地の所有者に話をしに行きました。
話をすると、
・あからさまに私には関係ないという顔をされており、他人事のような返事…
・土地に設定されている抵当権者(銀行)にはこちらから話をするので担当を教えてほしいと伝えましたが、1週間経っても連絡なし…
・電話をしても「忙しいから」と言ってなかなかすぐに動いてくれず…
・そのうち電話にも出てくれなくなってしまいました……
廃道手続きに、1ヶ月以上もかかりました…
休みの日に何度も足を運びました。
そして、4回目くらいに伺った際、当人はいなかったのですが、家族の方とお話をすることができました。
少しきつい言い方になってしまいましたが、現在は違反建築の状態であると伝え、こちらもこのままだと決済できないと話をしました。
ことの重大さに気づいてくれたのか、その後、隣接地所有者から連絡がきました。無事書類を頂き、抵当権者である銀行の担当者の名前も聞くことができました。
銀行と連絡がとれましたが、銀行も書類を出していただくまで2週間くらいかかってしまい、結局、廃道手続きを完了するまで着手から1か月以上かかってしましました。
該当地の決済は、市役所に廃道手続きの申請を出したことの受領通知書で何とか済ませることができ、無事決済を終えることができました。
過去に「都市開発・区画調整」された土地は要注意!
本事例のように、測量するための調査を進めていくと、土地に内包している様々な瑕疵を抱えていることに気づくことが多々あります。
問題解決には時間を要する場合もありますので、私どものような専門家にある程度の調査を依頼したのちに、日程的なことも含めて、どのように処分していくのか決定していただくことをお勧めします。