滅失登記事例

【建物表題登記】“めっしつとうき”をご存じですか?

「古い建物の跡地」はご注意ください!

建物表題登記を行う際に、古い建物が建っていた場合は滅失登記を一緒に行わなくてはなりません。

滅失登記とは…

建物が無くなったことを記録する登記を「滅失登記」といいます。 不動産登記法において、解体などで建物が滅失したときは、表題部所有者または所有権の登記名義人は、その滅失の日から1カ月以内に、建物滅失登記を申請しなければならないとされています。

滅失登記の申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処すると定められています。

普通の市街地ではそれほど問題ないのですが、田舎の歴史ある土地の現場等に行くと、実際には現地に建っていなくても、登記(書類)上、建物が残っているケースがあります。

『表題登記を行う際に、一緒に滅失登記もやらなくては!』・・・と登記簿を見ますと、誰なのかわからない人の名前で登記されており、住所も新築年月日も記載されていない、更に図面もないということがあるのです。

表題登記を行う時は、時間が限られていることが多いため、さあ大変!という事態に陥るのです。

新しく建物を建てたお施主さんの祖父や曾祖父くらいであれば、戸籍を付けて申請することもできますが、まれに隣の土地の所有者の3代くらいうえのご先祖様の名前で登記されていたりします。

本当にこの建物はここにあったのだろうか・・!?

間違って人の家の建物を滅失登記なんてしてしまったら大変です(-_-

うちの土地にお隣さんの建物が!?

最近やったケースですが、建物表題登記の依頼をされて、いつものように調査をしますと、古い建物が登記上残っていることがわかりました。所有者は「清水あや」とだけ記載されており住所も書いていません。

依頼者に聞くと、
「お隣さんの苗字が『清水』だから、お隣さんの祖先の方ではないか?」
というのです。

しかも、祖父の時代に境界線で揉めていたことがあったらしいので、その時に隣の方が建物を境界線をはみ出して建ててしまったのではないか・・とのこと。

その当時、登記する際に、申請地側の土地上にのっているように登記簿が作られてしまったようなのです。

依頼者と一緒に、「清水あや」さんの孫と思われる方のところに伺い、申請人は登記上の所有者である「清水あや」さんの相続人からの申請になるので・・と滅失登記申請をお願いしたのですが、見事に断られてしまいました( ;∀;)

その方の両親は、「清水あや」さんの養子になった経緯があり、自分は「清水あや」さんのことは実際に会ったこともないし、血もつながっていないので、ご遠慮したいとのことでした。

今回は、その旨を法務局に相談し、土地の所有者からの「滅失登記の申出」(法務局に職権にて滅失登記をお願いする申出)を行い、処理していただきました。

昔の登記簿

とにかく◯◯はお早めに!

ここで皆様にお伝えしたのは、
登記申請に時間がかかることがあるので、準備はお早めに!
・・・ということです。

早めに土地家屋調査士に業務を依頼し、登記上に残っている古い建物が無いか調べてもらってください。

ご自身で保管されている古い書類の中に、古い建物の権利証があったら土地家屋調査士に渡してあげてくださいね(^^)/