旗竿敷地(ハタザオシキチ)とは
道路(公道)に接する出入口部分が細い通路上の敷地になっており、その奥に家の敷地がある形状の土地のことで、竿のついた旗のような形状をしていることから「旗竿敷地(旗竿地)」と呼ばれています。
主に都市部の住宅が密集した分譲地によく見られます。
先日、上記形状の土地を昭和50年代に購入したが、手放したいので確定測量をしてほしいと依頼を受けました。場所は、千葉県松戸市内です。北側が6mの道路、閑静な住宅地です。(下図参照)
入り口近くに幅2.5mの駐車スペースを作り、2m幅の通路を通って、奥に建物に立っている土地でした。
大事なところに境界杭がない!
いざ測量してみると、別紙図面のP6点に境界杭が無いことがわかりました。
測量業者ならだれでも気を付けるのが、図面上のⒶの距離とⒷの距離です。それぞれ有効幅員が2m以上確保できていないと、奥の建物が老朽化した後に新しい建物を建築できなくなってしまうのです。
今回、P6点について東側の隣接地所有者から同意をもらい、境界杭を入れられるかが大きなポイントでした。
古い図面(昭和56年作成)によると、P6点とその東側にあるP2点(現地にはコンクリート杭がありました)までの距離は0.47mと記載されていました。
境界杭の復元を試みるも…
その距離を使用して、P6点を復元するとⒶの距離は2.00mを確保できるのですが、東側の隣接地所有者の方と境界線の立会を行ったところ、0.47mはおかしいと主張してきたのです。
その隣人曰く、
「別の図面には0.50mと書いてある、0.50m取れるようにしてほしい」
というのです。
0.50mで図面を作成すると、Ⓐの距離が2m確保することができず、依頼主は土地を売却することができないどころか、建物が建てられなくなってしまいます。
現場で何度説明しても、その隣人は納得して頂けず、境界杭の復元も同意してくれませんでした…
1ヶ月で完了するはずが3ヶ月も…
結局、3回も立会を行い、登記されている図面は0.47mと記載されているのだから、こちらの図面が現時点では有効なものである旨を伝えました。
ご自身でも色々と調べたようですが、0.50mと記載された図面は現況測量図であり確定図ではなかったようです。
最後は何とか同意をして下さり、境界確認書に署名捺印をしてくれました。
結局1ヶ月程度で完了すると思っていた作業が、3ヶ月近くもかかってしまいました。
路地状部分(接道)の幅が2m以上ありますか?
このような土地を所有者されている方は、今回の図面でいうⒶとⒷの幅員が2m以上とれているか確認が必要です。
特に今回のような昭和50年代に作成した図面は、現地と整合していない場合もあります。
せめて現地でP6点に該当する点から対向のブロック塀までの距離をあたってみてください。図面上のK8点、P4点、P6点、P5点に該当する点は特に大切な境界点であると認識してほしいのです。倒れたり抜いてしまったりすることのないように十分気を付けて下さい。
今回の作業では、無事確定測量を完了することができてホッとしましたが、測量に着手すると思いもよらないことで時間を要する場合がありますので、時間的な余裕を持って依頼をしていただくことをお勧めします。