「青森県にある1万㎡以上もある土地を相続した。持っていてもしょうがないので売却したい、どうしたらよいか?」
先日、知人からこんな相談を受けました。
もう少し詳しくお話を聞いてみると、
・森の中にある土地で境界も全くわからない
・そこに行ったこともない
・ご自身の土地がどこになるのかわからない!?
とのことでした。
そこで、地図で調べると津軽湾近くの山林の一角でした。
公図をとってみると・・なんとびっくり!((+_+))
昭和54年に国土調査を行っているのですが、いわいる筆界未定(ひっかいみてい)の土地でした。
国土調査は、1筆ごとの土地についての境界、地番、地目、面積、所有者などを明らかにします。土地登記簿の附属地図として土地所有者の権利を保護するのが目的です。
どうしても境界が決めることができない場合、まれに筆界未定として公図に線が入っていないものがありますが、その辺りは、90筆の土地全て筆界未確定で境界線の入っていない土地だったのです。
公図には、100-1+100-2+・・・+102-2+103-3 のような標記がされています。
これは、このエリアに100番1の土地、100番2の土地、・・・、102番2の土地、103番3の土地が存在している、しかし境界線は決めることができないので記載していませんよ、という意味なのです。
今回は90筆の土地が筆界未定で、三角スケールで読み取ると約750m×1500m=1,125,000㎡(約東京ドーム24個分)の土地について筆界未定の土地が出来上がってしまっていたのです。
通常は、土地区画に線が入って自分の土地が分かるように区画されていますが、線が入っていない公図では国土調査をやる意味が有りません。錯雑とした地図が作成されていたのです。
町役場に電話で問い合わせてみました。
税務課の資産税係の方が対応してくれ、当時の資料を調べてくれました。
すると、昭和56年から昭和57年に国土調査を行い、立会を行ったとのこと。
しかし、立会依頼をしても現地に来ていただけない等の理由から、このようなものができてしまったそうです。
しかも、今回の土地だけでなく、付近にはたくさんの筆界未定の土地があり、市役所の職員も困っているようでした。当然境界杭もなければ、座標も無いとのこと。町役場の職員は、仮に売却するのであれば、このような状況下でもなんとか境界を確定させて測量図を作成するしかない・・とのことでした。
私は、青森の法務局から国土調査が行われる前の古い公図を取り寄せてみました。
そこには、きちんと境界線の区画が記載されており、大体の場所は特定することができたのですが・・確定測量は難しいと感じました。
相談してきた知人に、資料と市役所との打ち合わせ内容をお伝えしました。
そもそもこの土地は、ご自身の父親が、近くに大きな施設ができる予定で土地が高騰するからと勧められて購入したそうです。しかし、その計画がとん挫して施設の建設は中止になり、持っていてもしょうがない土地になってしまったとのこと。
相続の際に、今回のことを聞いてとてもびっくりされていましたが、固定資産税も掛からないのでこのまま放っておきますとのことでした。自分が死んだときに息子がこの土地を相続する際には、所有権を放棄できる法律ができるといいな・・とおっしゃっていました。
2021年4月に、相続土地国庫帰属法が成立し、不要な土地を手放して国に引き取ってもらえる制度が創設されました。この制度は2023年4月ころから利用できるようになるようです。
ただし、相続した土地を国に引き取ってもらうためには様々な条件をクリアしないと承認されないようです。
例えば・・・
・建物の存する土地は❌(更地でなければダメみたいです)
・境界が明らかでない土地や、所有権の帰属や範囲について争いがある土地は❌
等、なかなか今回の土地でいうと厳しそうです。
相続放棄についても、全員が相続放棄をすれば相続税は払わなくて済みますが、名義が被相続人のままですので、管理義務は発生してしまいます。売却や寄付といっても、土地の範囲がわからなければ引き取ってくれる可能性は低いと思われます。
今回のような事例は多々あると思います。
近い将来、法律が改正されて何らかの手立てができることを祈るばかりです。
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