【分筆登記】相続登記の義務化で起こりやすいトラブル①

境界線が、現状と書類上(公図)で違いがある場合は要注意!

境界を明確にした図面(確定図)を作成するために、色々な資料や古い図面を参考にしながらお隣の地主さんと境界立ち合いを行い、図面を作成していきます。

近年、特に法務局が公図の形状を重要視する傾向にあります。
特に、平成17年に筆界特定制度(土地所有者等の申請により法務局が境界線の特定する手続きのこと)が創設されてから、細かく調査したうえで筆界認定しているように感じます。公図に1点曲がりがついているので、現地のブロックが直線に設置されていても曲がりをつけて図面を作成してくださいと言われてしまうのです。

特に、公図上の元番どうしが隣接する境界線(原子筆界といいます)については、公図のラインが正しいのであって、公図が誤っているため表記の訂正をする手続き(地図訂正といいます)を認めない傾向にあります。

例えば「100番」の土地を確定測量するため、隣接地所有者と境界立ち合いを行うとします。
隣の土地が「101番」である場合、100番と101番は元番(100番1とかの枝番が付されていない)なので、公図が作成された当時(明治9年ころ)からの区画である可能性が高いのです。その場合は注意が必要です。公図の形状と現地の形状と相違しないでしょうか?

「公図は、距離、面積、方位、角度等の定量的な問題についてはそれほど信用することはできないが、境界が直線であるか、崖になっているか平地になっているかという定性的な問題については、かなり利用することができるものというべきである」

藤原勇喜著 「公図の研究」より抜粋

というのが基本的な考えになっています。

つまり、公図の線に曲がりがついている境界線については、その角度についてはそれほど信用できないが、曲がっているという事実は信用できるという考え方です。

要は特に形状について重要視するのです。

公図では曲がりが2点作られているのに、現地では古いブロックが直線で築造されている、さてどうしてだろうと思い、実際に立ち合いを行い昔の話を聞くと、土地を使いやすいようにまっすぐブロックを作ってしまったとかいう話になることがあります。

親同士が取り決めて行ったことも、その子供の代になるとその当時のやり取りについて、ひきつがれていないことも多いのです。代が変わるとなおさらそういった現場ではトラブルになることがあります。

相続登記が令和6年4月1日より義務化になり、ご自身の不動産について一層の管理が必要になると考えられます。

いざ相続するとなったときに境界線で苦労すると確定できなくなってしまいます。

代が変わる前に、境界確定までは早めにすましておくことをお勧めします。